50代夫婦のセックス頻度はどれくらい?調査データで解説

50代夫婦のセックス頻度はどれくらい?調査データで解説 Partnership

50代になると、夫婦のセックスはどのくらい減るのだろうか。

若い頃のような勢いはない。

子どもも成長し、仕事でも責任が増え、親の介護が始まる人もいる。

体力も落ちる。

更年期による心身の変化もある。

そのなかで、「最近、夫婦のセックスが減った」「もう何年もない」「これが普通なのだろうか」と不安になる人は少なくない。

一方で、表立っては語られないが、50代になっても夫婦の性を大切にしている人たちもいる。

50代夫婦のセックス事情は、単純に「ある」「ない」で語れるものではない。

そこには、身体の変化だけでなく、夫婦の会話、感情の距離、長年の役割分担、心のつながりが深く関係している。

50代夫婦のセックス頻度は実際どれくらい?

50代夫婦のセックス頻度は実際どれくらいか

日本家族計画協会が行った「ジャパン・セックスサーベイ2024」によると、50代夫婦のセックス頻度は大きく二極化している。

50代既婚者のうち、「この1か月に1回以上セックスをしている」と答えた人は3割前後にとどまる。一方で、「1年以上していない」と答えた人は半数近くにのぼる。

つまり、50代夫婦の多くはセックスレス傾向にある。

ただし、これは「愛情がない」という意味ではない。

同調査では、「配偶者に愛情はある」と答える50代夫婦は多い。

つまり、愛情とセックスは必ずしも一致しない。

長年連れ添った夫婦では、恋愛感情よりも家族としての安心感や信頼感が強くなり、その一方で、性的な関係は薄れていくことがある。

更年期が夫婦の性に与える影響

50代女性にとって、セックスを考えるうえで避けて通れないのが更年期だ。

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少する。

その結果、膣の乾燥、性交痛、疲れやすさ、睡眠障害、気分の落ち込み、イライラなどが起きやすくなる。

以前は平気だったことがつらくなる。

「夫に触れられるのが苦痛になった」

「性欲がなくなった」

「自分でも、なぜこんなに嫌なのかわからない」

そう感じる女性も多い。

婦人科医の対馬ルリ子氏は、更年期の女性がセックスを避ける背景には、身体の痛みだけでなく、「女性として扱われていない」「普段は無関心なのに、夜だけ求められることへの抵抗感」もあると指摘している。

つまり、更年期の性の問題は、身体だけの問題ではない。

普段の会話、感謝、スキンシップ、思いやり。

そうした感情的なつながりがあるかどうかで、女性の受け止め方は大きく変わる。

男性側にも起きている変化

更年期の変化は女性だけではない。

50代男性もまた、加齢によるホルモン低下やストレスの影響を受けている。

男性ホルモンであるテストステロンは、40代以降ゆるやかに減少していく。

その結果、性欲の低下、勃起力の低下、疲労感、意欲の低下が起こりやすくなる。

仕事では責任が重くなり、親の介護や子どもの教育費の負担もある。

休日は疲れて寝ていたい。

夫婦で向き合う余裕がない。

そうした生活のなかで、性的な関心が後回しになっていく。

メンズヘルス医学会でも、50代男性の性欲低下には、加齢だけでなく、ストレス、睡眠不足、運動不足、肥満、飲酒が大きく関係していると指摘している。

つまり、50代夫婦のセックスレスは、「妻に魅力がないから」でも、「夫が冷たいから」でもなく、双方の身体と生活環境の変化が重なって起きていることが多い。

50代夫婦がセックスレスになる本当の理由

夫婦がセックスレスになる理由は、一つではない。

日本性科学会の調査では、50代夫婦がセックスをしなくなる理由として、次のような回答が多かった。

  • 仕事や家事で疲れている
  • 相手を異性として見られなくなった
  • 断られて傷ついた
  • 会話が減り、雰囲気がなくなった
  • 子どもがいる家で気を使う
  • 更年期による身体の不調
  • 相手が求めてこなくなった

このなかでも大きいのは、「断られて傷ついた経験」だ。

夫が誘ったが断られた。

妻が求めたが、軽く流された。

その経験が積み重なると、人は自分から誘わなくなる。

表面上は平静を装っていても、「また拒絶されたら傷つく」と感じるからだ。

すると、スキンシップも減り、会話も減り、やがて夫婦は男女ではなく、共同生活者になっていく。

セックスがなくても仲の良い夫婦はいる

セックスがなくても仲の良い夫婦はいる

一方で、セックスがなくても良好な関係を保っている50代夫婦もいる。

そうした夫婦に共通しているのは、会話があることだ。

一緒に食事をする。

休日に散歩をする。

旅行に行く。

お互いの体調を気遣う。

「ありがとう」と言う。

小さなスキンシップがある。

つまり、セックスがなくても、感情の交流がある夫婦は、心の距離が離れにくい。

逆に、セックスはあっても、会話も感謝もなく、義務のようになっている夫婦は、孤独感を抱えやすい。

夫婦の性は、単なる回数の問題ではない。

「自分は大切にされている」と感じられるかどうか。

そのことが、50代以降の夫婦関係ではますます重要になる。

50代だからこそ生まれる「成熟した性」

若い頃のセックスは、欲望や勢いが中心になりやすい。

しかし50代以降は、性の意味が変わっていく。

相手を確認する。

安心する。

触れ合う。

一緒に眠る。

そうした穏やかな親密さを求める夫婦が増える。

精神科医の香山リカ氏は、中年期以降の夫婦の性は、「性欲の強さ」よりも、「安心感や自己肯定感を支えるもの」になっていくと述べている。

実際、50代でセックスを続けている夫婦の多くは、若い頃のような頻度ではなくても、「月に1回程度」「旅行のときだけ」「手をつなぐ、抱きしめることを大切にしている」と語る。

そこには、若さではなく、長年連れ添ったからこその穏やかな親密さがある。

夫婦の性を取り戻すために必要なこと

もし、50代になってセックスレスがつらいと感じているなら、まず必要なのは、「回数を増やすこと」ではない。

会話を増やす。

一緒に過ごす時間を作る。

感謝を伝える。

体調や気持ちを話す。

疲れていること、更年期でつらいこと、拒絶されて傷ついたこと。

そうした本音を話せる関係があるかどうかが大切だ。

また、更年期の症状が強い場合は、婦人科や泌尿器科で相談することも必要だ。

性交痛には治療法がある。

男性の勃起障害にも治療法がある。

更年期障害も、漢方やホルモン補充療法で改善することがある。

「年齢だから仕方ない」と我慢し続ける必要はない。

50代夫婦の性は、若い頃の延長線上ではない。

身体も変わる。

心も変わる。

だからこそ、「昔と同じようにできない」ことを責めるのではなく、「今の自分たちに合った親密さ」を見つけることが大切なのかもしれない。

セックスがあるか、ないか。

それだけでは測れないものが、50代夫婦にはある。

けれど、会話もなく、触れ合いもなく、ただ同居しているだけなら、心は少しずつ離れていく。

成熟した夫婦の性とは、若さを保つことではない。

相手を思いやり、自分の本音も伝えながら、心と身体の距離を調整していくことなのだ。

Q&A

Q
50代夫婦のセックス頻度はどれくらいが普通なのでしょうか?
A

50代夫婦のセックス頻度は「かなり個人差が大きい」というのが実態です。調査では、月に1回以上ある夫婦が3割前後いる一方で、1年以上ない、いわゆるセックスレス状態の夫婦も半数近く存在しています。つまり、「これが普通」という明確な基準はなく、二極化しているのが特徴です。

重要なのは、回数そのものよりも「本人たちがどう感じているか」です。頻度が少なくても、お互いに納得していて関係が良好であれば問題はありません。一方で、どちらかが寂しさや不満を感じている場合は、頻度に関係なく関係性の課題として向き合う必要があります。

50代になると、体力やホルモンの変化、生活環境の影響で性のあり方自体が変わっていきます。そのため若い頃と比較して「減った=異常」と捉えるのではなく、「今の自分たちに合った形かどうか」を基準に考えることが現実的です。

Q
更年期になるとセックスがつらくなるのはなぜですか?
A

更年期の女性にとって、セックスがつらくなる主な理由はホルモンの変化にあります。女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、膣の乾燥や弾力低下が起こり、性交時の痛み(性交痛)が生じやすくなります。また、疲労感や不眠、気分の落ち込みなども重なり、性的な意欲自体が低下することもあります。

ただし、問題は身体的な要因だけではありません。普段の夫婦関係の質も大きく影響します。日常的に会話や思いやりが不足している場合、「普段は無関心なのに、求められるときだけ近づいてくる」という違和感が強まり、心理的な抵抗感が生まれやすくなります。

つまり、更年期の性の問題は「身体+感情」の両面で考える必要があります。無理をするのではなく、必要に応じて医療機関に相談したり、夫婦間で体調や気持ちを共有することが大切です。

Q
夫が求めてこなくなったのは、私に魅力がなくなったからでしょうか?
A

その可能性だけで判断するのは現実的ではありません。50代男性にも身体的・心理的な変化が起きており、性欲の低下や勃起力の変化は自然な現象です。特にテストステロンの低下に加え、仕事のストレス、疲労、睡眠不足などが重なると、性的な関心自体が弱くなることがあります。

また見落とされがちなのが、「過去の経験」です。一度でも誘って断られた経験があると、男性は自尊心を守るために自分から求めなくなる傾向があります。表には出さなくても、「また傷つくのではないか」という不安を抱えていることも少なくありません。

つまり、「魅力がなくなったから求められない」という単純な構図ではなく、加齢・ストレス・心理的要因が複合的に影響しているケースが多いのです。一方的に自分を責めるのではなく、相手の状態も含めて理解する視点が重要です。

Q
セックスレスでも夫婦関係が良好なら問題ないのでしょうか?
A

結論としては、「本人たちが納得しているなら問題ない」が基本です。実際に、セックスがなくても良好な関係を維持している夫婦は少なくありません。そうした夫婦に共通しているのは、日常的なコミュニケーションや思いやりがしっかりあることです。

たとえば、会話がある、一緒に過ごす時間がある、感謝や気遣いを伝え合っている、といった関係性があれば、性的な接触が少なくても心理的な距離は保たれやすいです。

一方で、セックスがあっても義務的で会話や感情の交流が乏しい場合、むしろ孤独感を抱くこともあります。つまり、夫婦関係の質を決めるのはセックスの有無ではなく、「自分が大切にされていると感じられるかどうか」です。

ただし、どちらか一方が不満や寂しさを抱えている場合は、その気持ちを無視せず、関係性として向き合う必要があります。

Q
50代からでも夫婦の親密さを取り戻すことはできますか?
A

可能ですし、むしろ50代だからこそ新しい形の親密さを築ける場合もあります。ただし、いきなりセックスの頻度を増やそうとするのではなく、「関係性の土台」を整えることが先です。

具体的には、日常会話を増やす、一緒に過ごす時間を意識的に作る、感謝やねぎらいの言葉を伝えるといった、小さな積み重ねが重要になります。また、これまで言えなかった本音――疲れていること、更年期のつらさ、拒絶されて傷ついた経験など――を共有できる関係を作ることも大切です。

さらに、身体的な問題については医療のサポートを活用する選択肢もあります。性交痛や勃起の問題は、適切な治療によって改善することもあります。

50代の夫婦にとっての性は、若い頃のような「回数」や「勢い」ではなく、「安心感」「触れ合い」「信頼」をベースにしたものへと変化していきます。その変化を受け入れながら、自分たちに合った形を見つけることが、長く続く関係につながります。

参考文献

[1] 日本家族計画協会『ジャパン・セックスサーベイ2024』

[2] 対馬ルリ子『閉経のホントがわかる本』

[3] メンズヘルス医学会『LOH症候群診療の手引き』

[4] 日本性科学会『中高年夫婦の性生活調査』

[5] 香山リカ『しがみつかない生き方』

[6] 宋美玄『セックスレスの医学』

[7] 厚生労働省『国民健康・栄養調査』

[8] 黒川伊保子『夫婦脳 夫心と妻心は、なぜこうも違うのか』

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