多くの本や自己啓発セミナーでは、自己肯定感を高めるためにはポジティブ思考に転換するが最良の方法だと謳われています。
一方で、アメリカの研究では平均的な人の8割はネガティブ思考を繰り返す毎日だという報告もあります。
このような現状で「ネガティブ思考をポジティブ思考に変えなさい!」と端的に言われても違和感を感じる人が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ネガティブ思考を否定せずに活用した「自己肯定感を上げる心と身体のワーク」について解説していきたいと思います。
自己肯定感を低下させるネガティブ思考の癖
2005年アメリカ国立科学財団が発表した記事によると、平均的な人で通常1日に1万2千~6万回もの思考を巡らせているそうです。
その内の80%がネガティブ(マイナス)思考で、また95%は前日と全く同じ思考をただ繰り返しているということが報告されています。
“In 2005, the National Science Foundation published an article showing that the average person has between 12,000 and 60,000 thoughts per day. Of those, 80% are negative and 95% are exactly the same repetitive thoughts as the day before.”
引用元URL:https://siobhankukolic.com/the-average-person-has-between-12000-and-60000-thoughts-per-day/
1日8時間睡眠として考えると、起床している間に人間は多い時で1時間に3,000回ものネガティブ思考をしている計算になります。
それも昨日とほとんど同じことを繰り返して…
世間ではポジティブ(プラス)思考の大切さが叫ばれながらも、現実には多くの人がネガティブ思考に囚われていることは、動画配信サイトなどのコメント欄を見ても明らかですね。
しかし、ネガティブ思考自体が悪いという訳ではありません、人間がネガティブなことに敏感なのは、危険から身の安全・安心を守るために備わった潜在的本能だと言われています。
問題なのは、ネガティブ思考の連鎖を放置することで脳がその状態に慣れてしまい、ネガティブ思考の癖が定着した慢性のストレス気質・体質になってしまうことです。
暴走したネガティブ思考は認知(物事の捉え方)を歪め、自尊感情や自己肯定感を低下させます。
そのような状態から自己肯定感を高めていくには、先ず自分の内側にあるネガティブ思考の癖に気づくことです。気づくということは、心の深層に隠れている無意識(潜在意識)の領域から顕在意識の領域に浮かびあげることです。
あなたは、「ありのままの自分」を認めて愛することが出来ますか?
自己肯定感は、人間関係、恋愛、パートナーシップ、仕事、自己実現を成就する上での基盤となります。
自己肯定感を知ることは、自分の「あり方」を知ることにも繋がり、自分が自分であ[…]
ネガティブ思考を肯定して自己肯定感を高める
ネガティブ思考の癖に気づいた時に大切なのは、その時生じたネガティブな感情を無理矢理に排除しようとしないことです。その感情に暖かい光を当てて優しく迎え入れてあげてください。
それはイソップ童話の「北風と太陽」のお話に似ています。北風が力ずくで旅人の上着を吹き飛ばそうとすればするほど、旅人は身を引き締めて服が飛ばされないように必死で抵抗しました。
ネガティブ思考を引き離そうと努力すればするほど、ネガティブ思考は自分にまとわりついてきます。
また「ネガティブに考える自分はダメだ!」と自己否定することは自己肯定感を低下させ、ネガティブな感情をより増幅させることに繋がります。
磁石のようにネガティブとポジティブは本来、陰陽・表裏一体の関係で成り立ち、ネガティブが一方的に悪いわけではありません。この世の全ての事象は陰陽のバランスで成り立っています。
ネガティブな問題にうまく対処するためには、ネガ、ポジのどちらか一方にフォーカスするよりも、ネガ・ポジを含んだホールネス(全体性)として捉えることがポイントです。
心と身体も同様、心身一体として成り立っているので、心を整えるためには、先ず身体(姿勢と呼吸)を整えることが鍵となってきます。
自己肯定感を高める心と身体のワーク
自己肯定感を高める心と身体のワークは、次の4つのステップで行います。
- 身体の感覚にフォーカス
- 身体を整える&腹式呼吸
- 自分のネガティブ思考や感情をアウトプット
- 自分のネガティブ感情を手放す
先ずは身体感覚にフォーカスしてリセット
ネガティブ思考の渦に巻き込まれないためには、あなた意識を頭から身体へと集中させていきます。身体の感覚を通すことによって現実の変化は加速します。
心身一如(しんしんいちにょ)と言われるように精神と肉体は一体であり、身体がリラックスするのに伴って心も落ち着いた状態になります。
また、自分の身体感覚に意識をフォーカスさせることで、ネガティブ思考の囚われから離れて俯瞰しやすくなります。
先ずは、自分の呼吸と筋肉の動きに意識を向けて下さい。人は緊張したり、ストレス状態になると無意識的に両肩に力が入り、呼吸も浅くなってしまいます。
肩が緊張してると思ったら、胸を張りながら下の図のように両方の肩甲骨を上げて5つ数え、その後、両肩をストンと落として身体をリセットしたら10秒くらいリラックスしましょう。(椅子に座っても、立ってやっても構いません)
【肩のリセットエクササイズ】
心身のバランスを整える腹式呼吸法
通常、無意識にしている呼吸を意識的に行う呼吸法は、自律神経と心身のバランスと整える効果があります。
この無意識と意識をまたがって行う呼吸法を習慣的に行うと生命力を活性化し、潜在意識を活用しやすくなると言われています。
ここではシンプルで簡単にできる腹式呼吸法をご紹介します。
- 呼吸法の姿勢は、椅子に座る・立位・座位のどれでもOK!
- 自分の下腹にある丹田(ヘソ下5㎝の辺り)に意識を向ける(手を当ててもよい)
- 腹式呼吸(吸気で下腹を膨らませ、呼気で凹ませる)で鼻から吸った息を口からゆっくりと吐く(1セット)
- 吸気と呼気の時間の割合(おおよそ)=1:2
- 身体の筋肉がゆるんでリラックスを感じるまで続ける(2~3分程度)
- 口から息を吐く時は、自分のお腹にたまったネガティブを一緒に吐き出すイメージをするとよいでしょう
【腹式呼吸のワーク】
ネガティブ思考を言語化してアウトプット
心身が落ち着いてきたら、今度は自分自身を抱擁する(抱きかかえる)イメージで「自分はこんな風に思ってるんだ、感じてるんだ…」と力を抜いて、自分のネガティブな考えをあるがまま声にして出します。
「私は〇〇だと思っている」
「私は○○にこだわっている」
「私は○○な風に感じている」
声が出せる環境にいないのなら、紙に箇条書きしても良いでしょう。このワークの目的は自分の内面にあるものを形化してアウトプットすることです。
自分の考えや思いを言語化して声に出したり、紙に書いたりする行動は、自分の中にある闇の部分に光を当ててる作用があり、囚われている思考や感情を本来の自分から切り離す効果があります。
ネガティブな思考や感情は、フタをして引っ込めるのではなく「出るがまま、あるがままに認めてあげる」ことによって手放すことができます。(解放する=認める(理解する)=手放す)
大切なポイントは「自分の素のままの思いを正直に出し切る」ことです。
ネガティブ感情の分離と解放
自己肯定感の低い人は、自分と感情を一体化して捉え、自己否定してしまう癖がありますが、感情とはただの反応で本来の自分とは別のものです。
例えば、「不安感」に襲われれば「私=不安」と捉えてしまいがちですが、実際には自分の胸やみぞ落ちの辺りが反応して、「胸のザワザワ」ような感覚が自分の中で生まれているに過ぎません。
このように感情は、身体の中で起こっている反応に過ぎないことを理解し、自分と感情を切り離して捉えることで、その感情と正面から向き合うことができます。
ネガティブ感情は「本当の自分は何を欲しがっているのか?」を伝える心のシグナルでもあります。心のシグナルは無視せずにきちんと向き合って正しく理解してあげれば、自ずと消えて行きます。
「そうなんだ~、そう感じてたんだね~」と子供を抱きかかえるようにしっかりと受け止めて理解してあげることが大切です。
このように自分の中で生まれたネガティブな感情を抱きしめるように受けとめ、全肯定して理解してあげる習慣をつければ、今まで自己否定に抑えつけられていた自己肯定感が解放され一気に高まっていくでしょう。
自己肯定感とは、自分の人生を生きていく上で精神的な土台となるものです。
つまり、自己肯定感が高ければ、ブレない自分軸を持って前向きに積極的に行動していけます。
逆に自己肯定感が低い人は、自分軸がしっかりと構築されてないので、他人[…]
あなたは、「ありのままの自分」を認めて愛することが出来ますか?
自己肯定感は、人間関係、恋愛、パートナーシップ、仕事、自己実現を成就する上での基盤となります。
自己肯定感を知ることは、自分の「あり方」を知ることにも繋がり、自分が自分であ[…]